経穴(ツボ)がたくさん…
経絡には体の長軸方向に沿って走る経脈と、それらがバラバラにならないようにつなぎ止めながら横方向に走る絡脈とがあります。経穴(ツボ)を結ぶ線が描かれている絵や人形を見たことがあるかもしれませんが、この線が経脈です。ただし、この描かれている経脈そのものを指して経絡と称することもあります。むしろそう思っている人の方が多いかもしれません。
ここでは各臓腑の名前を冠した12種類のもっともポピュラーな十二経脈について説明します。
十二経脈は大きく三陰(太陰、少陰、厥陰)と三陽(陽明、太陽、少陽)に分けられます。それぞれに手および足に属するものがあり、合計で12種類となります。臓腑では臓が陰、腑が陽ですから、まとめると次の表のようになります。
| 陰経 | 陽経 | ||||
|---|---|---|---|---|---|
| 三陰 | 太陰 | 手の太陰肺経 | 手の陽明大腸経 | 陽明 | 三陽 |
| 足の太陰脾経 | 足の陽明胃経 | ||||
| 少陰 | 手の少陰心経 | 手の太陽小腸経 | 太陽 | ||
| 足の少陰腎経 | 足の太陽膀胱経 | ||||
| 厥陰 | 手の厥陰心包経 | 手の少陽三焦経 | 少陽 | ||
| 足の厥陰肝経 | 足の少陽胆経 | ||||
流注とは経脈の走行のことで、おおざっぱに言うと、直立でバンザイをした姿勢のとき、陰の経脈は下から上に流れ、陽の経絡は上から下に流れるという法則があります。
また、経脈全体もそれぞれが連絡を取り合いながら無限ループのように流れています。その流れは『手の太陰肺経→手の陽明大腸経→足の陽明胃経→足の太陰脾経→手の少陰心経→手の太陽小腸経→足の太陽膀胱経→足の少陰腎経→手の厥陰心包経→手の少陽三焦経→足の少陽胆経→足の厥陰肝経』と流れ、再び手の太陰肺経に戻ります。
東洋医学に興味を持った患者さんの中には自分でツボの勉強を始められる方がおられ、「手の陽明大腸経はどうして大腸の近くを通らないのですか?」と聞かれることがあります。
確かに経絡図を見ると、手の陽明大腸経は人差し指に始まり、腕から肩そして首を経て反対側の鼻の横に終わります。しかし詳しい書籍には途中で体の中に入って大腸へと向かうルートが記述されています。この体内における流れを知ることで、臓腑との関係や他の経脈との関係を理解することができます。
経穴には十二経脈と後述する奇経(督脈と任脈)に属する正穴と、それらに属さない奇穴とがあります。一般に、経穴の数というときは前者の正穴のことを指します。現在、WHO(世界保健機関)が定めている経穴の数は361個ですが、日本の養成校で教わる経穴の数は354個とされています。これは、日本の教科書が『十四経発揮(1341年)』をベースにしているからです。
2005年1月10日付の朝日新聞に『「ツボ」の位置日中韓でズレ』という記事が掲載されたので、ご存知の方もおられるかもしれませんが、現在、国際的な統一がなされようとしているので、そのうち日本の学校でも361個を基本として教えるようになりそうです。
以下に、十四経発揮とWHOの相違点についてまとめました。ただし、WHOにおける漢字表記は中国語が基本ですが、ここでは日本語での表記にしています。
| 経脈 | 十四経発揮 | WHO | 相違点 |
|---|---|---|---|
| 手の太陰肺経 | 11 | 11 | --- |
| 手の陽明大腸経 | 20 | 20 | |
| 足の陽明胃経 | 45 | 45 | --- |
| 足の太陰脾経 | 21 | 21 | --- |
| 手の少陰心経 | 9 | 9 | --- |
| 手の太陽小腸経 | 19 | 19 | --- |
| 足の太陽膀胱経 | 63 | 67 | 眉衝、督兪、気海兪、関元兪が追加 |
| 足の少陰腎経 | 27 | 27 | 流注の順序が水泉から照海 |
| 手の厥陰心包経 | 9 | 9 | --- |
| 手の少陽三焦経 | 23 | 23 | --- |
| 足の少陽胆経 | 43 | 44 | 風市が追加 |
| 足の厥陰肝経 | 13 | 14 | 急脈が追加 |
| 督脈 | 27 | 28 | 中枢が追加 |
| 任脈 | 24 | 24 | --- |
| 合計 | 354 | 361 | --- |
ちなみに、督脈と任脈は身体の前後の正中を通りますが、正経十二経はすべて左右対称に存在するので、身体に存在する経穴の数は2倍になります。すると十四経発揮では657個、WHOでは670個の経穴が存在することになります。1980年代に「お前はもう死んでいる」のセリフとともに大ヒットした『北斗の拳』では、708個の経絡秘孔が存在するとされています。十四経発揮の354個を2倍した数ですね。コミックの第8巻に経絡図が登場しますが、原作者も構想にあたってはこういった資料を参考にしたと思われます。ということは督脈と任脈が1本ずつしかないことを見落としていたのでしょうか?それとも、経絡秘孔に特別な意味を持たせようとしたのでしょうか?
正経十二経と督脈および任脈のページには、経穴名を表示ながら読み上げるFlashを、十四経発揮とWHOで異なるものについては2種類ずつ、共通のものは1種類を掲載しています。異なるものについては日本で使用されている教科書が361個に統一されたら変更したいと思います。